2020.11.19
中小企業の経営戦略は「差別化戦略」しかない
日本でマイケルポーターは、ドラッカーと並ぶ超有名な経営学者ですが、彼を有名にしたのは「競争の戦略」という本とそれに続く「競争優位の戦略」という2冊の本です。
マイケル・ポーターは、競争の戦略として「3つの基本戦略」があるとしています。
➀コストリーダーシップ戦略…価格でライバルを圧倒しようという戦略ですから、量産効果で価格競争できる企業でないとなかなか成功しません。業界ナンバーワンの市場を握っている企業であれば他の企業より安い価格で市場に供給し他社の追随を許さない戦略です。
➁差別化戦略…他社よりも価値の高い品質やサービスを提供して競争優位を確保しようという戦略です。
➂集中戦略…企業の資源を特定のターゲットに絞ってそこに集中して競争優位を確保しようとする戦略です。
ただこの3つの戦略のうち➂の「集中」という戦略は、そもそも戦略とは「何かを捨てて何かに集中すること」なので➀のコストリーダーシップ戦略でも➁の差別化戦略でも必要なことなのですから特に分ける必要はありません。したがって企業の経営戦略には他社よりも安い価格で競争するか、他社とは違う価値で勝負するかの二つしかないということになります。
そして、中小企業は「価格リーダー」になることは、全く新しい製造方法でも発見しない限る無理なので、中小企業の経営戦略は「差別化戦略」しかないということになります。中小企業経営者の多くはこのことを理解しているのですが、まだまだ「価格だけで勝負している」中小企業経営者も多くいらっしゃいます。
マイケル・ポーターは、「競争優位の戦略」の中で、企業の活動をバリューチェーンとして分けて分類し、その企業活動の中のどこで自社の強みを発揮するのかということを説いています。
新型コロナ禍は、私たちに新しい未来を少し早めに到来させています。価格でのみ勝負していたら、いずれ疲弊してしまう中小企業なのだとしたら、「どんな企業活動でどのように差別化するのか」ということを、私たち中小企業経営者はもう一度考え直す必要があります。