2020.01.04
あけましておめでとうございます
令和2年の新年あけましておめでとうございます。
今年は令和になって初めての正月ですから特別な正月といえます。
平成時代は31年間続いたわけですが、振り返ってみれば「平成時代」は日本の国力が凋落した30年でした。
吉見俊哉という社会学者(道教大学大学院教授)が昨年5月に岩波書店から出版した「平成時代」という本が、焦点を当てているのは平成時代に「私たちはなぜ30年間も「失敗」の連鎖から抜け出せなかったのだろうということです。
少し平成時代を振り返ってみます。吉見教授が「失敗」と言っているのはどういうことでしょうか?
1.金融を中心とする大企業の失敗
平成元年(1989年)12月末に日経平均株価は、38,915円だったのですが、平成の30年間は一瞬たりともこの株価を超えることができませんでした。
昨年末の終値は23,656円で、なんと29年ぶりの高値だったようですが、それでも平成元年松の株価に比べれば15,259円安いわけです。バブル経済の崩壊ショックを30年かけても回復できなかったわけですから平成時代はまさに「失われた30年」であったといえます。
週刊ダイヤモンド社の平成元年の世界における企業の時価総額ランキングトップ50のいち日本企業は32社ありましたが、2018年にはわずか一社(35位ヨタ自動車)となってしまいました。
2.電機産業の衰退
1980年代までのソニーは、ウォークマンの世界的ヒットをはじめ、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いでした。それが平成に入ると長い長い凋落時代に入ります。結局、CDやMDという成功体験から抜け出せない、アルバムの売上、トリニトロンというブラウン管の売上、もすべて過去の成功体験を捨てることができなかったことが全てでした。インターネットという時代に向き合うのが遅れたわけです。
ソニー以外の日本の電機メーカーもすべて、過去の成功がもたらす目先の利益に安住して、新しい時代の「モノ作り」に失敗します。テレビ、ビデオ、パソコン、携帯、ナビゲーター、白物家電、すべての分野で日本の電機メーカーは凋落していきます。
3.日本は給料の低い国になった
12月12日の日経新聞に「増税後の国づくり」という連載記事に「香港なら2倍稼げる」という見出しがありました。失われた30年間というもの日本の賃金は上がっていません。その間に世界中の国の給料が上がったため、いつのまにか日本は給料の安い国になってしまいました。
同じ日経新聞の12月10日の連載「増税後の国づくり」の見出しは「安い国ニッポン」では、日本のダイソーで100円で売っている商品が、海外のダイソーでの価格は、アメリカ162円、中国153円、タイ214円、シンガポール158円だそうです。インバウンド消費が高まっていると喜んでばかりいられません。
4.人口減少、少子高齢化の問題
一人の女性が一生の間に平均して生む子どもの人数のことを合計特殊出生率といいますが、この数値が平成元年に1.57となりその当時でも危機だといわれていたのですが、平成30年で1.42まで下がっています。2019年の出生数は86.4万人で初めて90万人を割り込み、亡くなった人との差(自然減)は51.2万人となりました。
いずれにしても平成時代は日本の抱える構造的な経済問題や社会問題を解決できないまま令和時代を迎えています。令和の時代を明るい時代にするためにもしっかり平成時代を総括して、果敢にチャレンジしなければなりません。そしてそのためには日本人一人一人が自らが変わろうとしなければならないと思います。
令和時代を希望の持てり時代にしたいものです。今年もよろしくお願いいたします。