2019.03.20
27年ぶりに地方の住宅地が値上がりした?
国土交通省が3月19日に発表した公示地価によると、今年の全国平均の公示地価は昨年比で1.2%上昇しました。これは4年連続で、地方圏も0.4%とわずかであるが上昇しています。
毎年の公示価格は、私たちに様々なことを教えてくれますが、今年の公示地価が語っていることを以下に述べたいと思います。
1.地方圏の住宅地が27年ぶりに上昇した…今年の公示地価の最大の特徴は、「地方圏の住宅地が27年ぶりに上昇した」ということです。27年前というのは、1991年のバブル地価のピークです。なんと、「地方圏の住宅地は26年間もの間下がり続けた」ということの方が大変な出来事だと思います。
今年の公示地価が地方圏でも上昇したといっても、商業地で1.0%、住宅地で0.2%、全用途で0.4%というわずかな上昇でしかありませんので、「地方圏の地価下落は終わった?」とは言えないと思います。したがって「これから地方圏の住宅地も値上がりが期待できる」と判断することはできません。地方圏の地価がわずかに上昇したのは、地方圏の中核4都市(札幌、仙台、広島、福岡)の住宅地価が4.4%上昇しているのににひきずられた結果といえます。
地方の中核都市以外の住宅地の地価下落は続いているのです。
「地価の2極化は、地方圏にも拡大している」、「地方圏でも、中核的な都市の地価は僅かに上昇し、それ以外の地方都市の地価は下落している」というのが真相だと思います。
2.地価上昇はこれから続くのか?…3大都市圏の商業地の地価は、昨年の上昇率以上に上昇しています(東京圏 昨年3.7%の上昇が今年は4.7%の上昇、大阪圏 昨年4.7%の上昇が今年は6.4%の上昇、名古屋圏 昨年3.3%の上昇が今年は4.7%の上昇)。しかしこの上昇が今後も続くのかについては大いに疑問です。公示地価の指数は過去の取引の集計ですから、将来の趨勢を保証するものではありません。反対に都心の地価上昇率が低くなっていることから、都心の地価は「頭打ち」の可能性があります。バブル地価が崩壊した時もそうですが、都心バブルを引き起こしたマネーが地方にまで波及しているとすればそろそろ警戒しなければならない時期になったと思わなければなりません。
3.観光地バブルは続くのか…今年の地価上昇率のトップ3は以下の通りであり、いずれも海外観光客に人気のあるところです。
(1)全国の商業地の地価上昇率トップ3は
➀北海道虻田郡倶知安町 58.8%、 63,500円
➁大阪市中央区日本橋一丁目 44.4%、 1,200,000円
③大阪市北区茶屋町44.2%、 5,810,000円
(2)全国の住宅地の地価上昇率トップ3は、
➀北海道虻田郡倶知安町字山田 50% 75,000円
➁北海道虻田郡倶知安町北7条 32.4% 22,500円
③那覇市おもろまち3丁目 30% 351,000円
この観光地バブルいつまで続くのかわかりませんが、グローバルな視点から見たらこれらの地価はまだまだ低価格だともいわれています。地価を国内基準で判断する時代は終わっています。今後も世界から見て魅力的な地方観光都地の地価は上昇する可能性があります。反対にこの日本の観光地ブームが終われば、急速に海外マネーは撤退しますので、「はたしていつまで続くのか?」ということだろうと思います。
いずれにしても、今年の公示地価は私たちに様々なことを教えてくれます。